病院において看護技術の主な担い手であるのは看護師ですが、看護師という職業はそう誰でもがなれるほど簡単な仕事ではありません。それは国家試験の難易度といった話ではなく、優れた対人的センスを必要とする仕事だからです。看護は患者さんという「人」を相手にする仕事です。「病気」を相手にしてそれを治していく立場の医師とは違います。看護師はあくまで「病人の看護」をすることがその役割であり、患者の回復を支えるために相手を一人の「人間」と見て対応することが求められるのです。病院以外でも、看護師が活躍していますが、出かけ先で急病人に遭遇した際、どれだけのチカラを発揮できるか?わかりますか?例えばイベントナースだと、常に総合的な判断が要求されます。ケガやアクシデントはスポーツ従事者だけでなく観客からも発生します。年齢性別を問わないフィールドに身を置く看護師に必要なスキルは高いものだと思います。もしも看護師の転職でイベントナースを目指すなら、是非参考にしてもらいたい思います。

看護師として働く上で必要なものは当然看護や医療に関する知識、そして実際に看護を行う技能です。最低限の医療知識や看護技能は看護学校で身につけてくるものです。しかし、それとは別に看護師にとって必要な資質があります。基本的な学力や学習能力ももちろんですが、その資質を磨くことで対人能力を向上させ、高い看護技術を身につけることができるのです。

参考とする本や人によってもいろいろな意見がありますが、ここでは以下の五つの資質を取り上げたいと思います。

<鋭い観察力> ナイチンゲールがその著書「看護覚え書」の中でも繰り返し「観察」の重要さを訴えているように、看護師にとって患者の様子を注意深く観察することは必須技能です。単に患者を「見る」だけでなく「観察する」ことも看護の技術です。

<俊敏な判断力> 患者のことを観察できたら次にするべきことを素早く判断し行動しなくてはなりません。場合によっては患者の容態は刻一刻と変化してしまうので物事を俊敏に判断する力も看護師には不可欠です。

<正確な知識と応用力> 患者を観察し、様子を読み取ったところで独りよがりな判断をしても意味がありません。しっかりとした知識を身につけ、正しい根拠に基づいた適切な処置をしなくてはなりません。また、状況に応じて基本的な知識や技能をうまく応用できる力も必要です。

<話術、コミュニケーション能力> 看護師は直接患者さんと接する仕事なので一般の接客業と同じく話術やコミュニケーション能力がなければ困ります。子供からお年寄りまで、相手に上手く合わせた対応をすることが求められています。しかし、話術といってもただ患者さんを笑わせるだけでなく、時には諭し、時には叱るようなことも必要です。

<打たれ強い性格> 看護の仕事をしているとミスをして先輩から注意を受けたり、患者さんから攻撃的な対応を受けたりすることもあります。そういう時に反省することは大事ですがいちいち落ち込んでいては仕事になりません。多少のことは跳ね返すくらいの打たれ強さがなくてはやっていけません。

最初からこれら全てが身についていれば天性のスーパーナースどころかホテルでもエアラインでもおよそ対人的な職業なら何でもこなせてしまうでしょう。ここに挙げた資質はいずれもその人生来の資質でもあります。全てを完璧にすることは難しいと思いますが、自分にとって何が得意で何が不得意かを考えながら日々の訓練や経験を積むことによって強化することができるものです。