高い看護技術を身につけるために必要な看護師の資質について見てきました。では、そういった資質を身につけるためにはどうしたらいいのでしょうか?どの項目も「こうすれば身につく」と言えるほど単純なものではありません。しかし、日々の工夫や心がけで資質を高めていくことができるのは確かです。

<観察力を身につける> 物事を観察するにはそれに興味を持たなくてはいけません。同じ風景を見ても自分が何に興味を持っているかで印象に残るものが違います。車に興味のある人は車の印象が残るでしょうし花に興味があれば咲いている花が目に留まります。同じように、患者さんを見るにしても相手に興味を持って見ることでちょっとした変化にも気づけるようになります。

<素早い判断力を身につける> 素早く判断するためにはそれなりの経験と知識がなければ難しいものです。自動車の運転でもある程度の運転経験があり、どういう所に危険があるのかを知っていればとっさの出来事にも対処することができます。さらに、普段自分が直面する物事のうち何が重要で何が重要でないかを常に考え、重要なことを優先させることで大事小事の判断ができるようになります。

<応用力を身につける> 応用は基礎の上に成り立つものです。しかし基礎というのは一つの方法で一つの答えを出すことです。例えば基礎として長方形の面積を縦×横と知っていればとりあえず答えを求めることができますが、そこで長方形を二つの三角形や複数の正方形の集まりなどと考えて答えを出すこともできます。基礎と同じ答えを出すにしても他にもっといろいろな方法はないかと考える癖をつけることで応用力が身につきます。

<話術やコミュニケーション能力を身につける>
看護師は様々な人と接する仕事ですからいろいろな雑学を知っているとコミュニケーションの役に立ちます。浅い知識でもいいので毎日雑誌や新聞などを読み、スポーツや文学、将棋など雑多な知識を持っていると患者さんたちとの会話が弾みます。気難しい相手でもちょっとした共通の話題があればスムーズに対応できることもあります。

<打たれ強い性格になる> これが最も個人の性格によるものなので難しいところではありますが、自分の中でオンとオフがしっかりとつけられることが大事です。何かミスをして怒られたり患者さんが亡くなるなどショックな事があってもそれをいつまでも引きずらずに切り替えをしなくてはいけません。これは鈍感とか薄情という意味ではありません。看護師は優しすぎても駄目なのです。

これらはどれも一朝一夕に得られる技能ではありませんが、日々の勉強を欠かさず経験を積むことで必ず身についてくるものです。自分の経験だけでなく、先輩やナイチンゲールといった先人の試行錯誤も参考にすることで自分の看護技術をさらに高めていくことができます。 看護師は高い対人技能を必要とするのでどうしても向いている人といない人があるのは仕方ありません。実際、看護の仕事は面倒な仕事ですし、人の面倒を見ることがよほど好きな人でなければ続けるのも難しいでしょう。最近では就職難や安定指向から本来看護師にはあまり向いていない人でも看護師になることがあります。

ですが、病棟勤務だけが看護師の職場ではありません。現在では病院以外にも個人の医院や検診会社の派遣看護師など様々な働き方ができるのも事実です。看護師資格を取った後に研究職に就くこともできます。無理に理想の看護師を目指すよりも自分に合った職場を探すのも一つの手だと思います。